制作チームが陥りがちな「クライアントとの衝突」を回避する方法

クリエイティブディレクターのヨコタナオヤです。

「コンセプト × 戦略 × デザイン」を軸に、スタートアップや成長企業の新規事業開発、ブランディング、戦略設計を支援しています。プロジェクトを円滑に進め、成果を最大化するためのディレクションの考え方や実践的な手法をお届けします。

本記事【制作チームが陥りがちな「クライアントとの衝突」を回避する方法】では、「クッション役, クライアント対応, チームマネジメント, ディレクション, プロジェクト成功, 修正対応, 制作チーム, 期待値調整, 認識のズレ防止, 進行管理」について解説しています。(カテゴリ:制作チームのマネジメント
目次

はじめに|なぜ制作チームはクライアントと衝突するのか?

制作チームとクライアントの間で対立が生じることは珍しくありません。デザイナーが細部までこだわり抜いたデザインに対し、クライアントが「もっと目立たせてほしい」と注文をつける。開発者が技術的な最適解を提案しても、クライアントは「とにかく動けばいい」と考えている。

このような認識のズレが積み重なることで、双方の信頼関係が揺らぎ、プロジェクトの進行が停滞してしまうことがあります。

こうした衝突が起こる背景には、制作チームとクライアントの目的や考え方の違いがあることから認識しておく必要があります。

クライアントの視点
  • 事業の成果を重視し、売上やブランド価値向上を目的とする
  • 競合との差別化を意識し、より目立つデザインや機能を求める
  • 制作のプロセスよりも、最終的な成果物に関心がある
制作チームの視点
  • デザインやシステムの品質を重視し、細部にこだわる
  • ユーザー体験や技術的な正しさを考え、安易な変更を避けたい
  • クライアントの要望が「プロジェクトの品質を損なう」と感じるとストレスを抱えやすい

    このような考え方の違いが衝突の原因となることが多いです。では、こうした対立を防ぎ、円滑にプロジェクトを進めるためにはどうすればよいのでしょうか。

    本記事では、制作チームとクライアントの摩擦を減らし、スムーズな進行を実現する方法を解説します。


    1. 制作チームとクライアントが衝突しやすいポイント

    POINT

    仕様や要件が途中で変わる

    プロジェクトの途中で、クライアントから「この機能を追加したい」「やっぱりデザインを変更したい」といった要望が出ることはよくあります。しかし、制作チームにとっては、当初の設計を大きく変更することになるため、作業の負担が増えるばかりか、プロジェクト全体のスケジュールにも影響を及ぼしかねません。

    POINT

    フィードバックが曖昧で、認識のズレが生じる

    クライアントが「もっと洗練されたデザインにしてほしい」と依頼したとします。しかし、制作側からすると「洗練された」の定義が曖昧で、どの方向性で修正をすればよいのか判断がつきません。認識のズレを放置したまま進めると、最終的な納品時に「思っていたのと違う」と言われ、手戻りが発生してしまいます。

    POINT

    修正の回数が増え、制作側の負担が増す

    クライアントが何度も修正を依頼することで、制作チームのリソースが圧迫され、他の業務に影響が出ることがあります。特に、修正対応の基準が明確でない場合、「とにかく満足するまで直してほしい」と無限ループに陥ることもあります。


    2. クライアントとの衝突を回避するためのディレクション技術

    STEP

    期待値のすり合わせを徹底する

    プロジェクト開始時に、クライアントの期待と制作側の現実的な制約をすり合わせることが重要です。具体的には、以下のようなポイントを明確にします。

    • プロジェクトの目的は何か?(売上向上、ブランディング、ユーザー獲得など)
    • 成果物の評価基準は何か?(デザインの方向性、機能要件、KPI)
    • 修正の対応ルールはどうするか?(回数制限、追加費用の発生条件など)

    このように事前に整理し、クライアントと合意を取っておくことで、「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、スムーズな進行が可能になります。

    STEP

    クライアントの要望を具体化する

    ライアントの指示が抽象的な場合、そのまま制作に取り掛かるのではなく、ディレクターが適切に整理し、制作側が理解しやすい形に変換することが大切です。

    例えば、クライアントが「もっと高級感を出したい」と言った場合、以下のように具体化できます。

    • フォントを細身でスタイリッシュなものに変更する
    • ゴールドやシルバーなどのリッチな配色を取り入れる
    • 高解像度の写真を使用し、質感を強調する

    このように言語化することで、制作側が意図を理解しやすくなり、修正の回数を減らすことができます。

    STEP

    修正対応のルールを明確にする

    正が無限に続くことを防ぐために、事前に修正対応のルールを明確に設定し、クライアントと合意を取ることが大切です。

    • 修正回数の上限を設ける(例:「3回まで無料、それ以降は追加費用が発生」)
    • 修正範囲を定義する(デザイン全体の変更は不可、軽微な調整のみ対応)
    • スケジュール変更の影響を説明する(修正を増やすと納期が遅れる可能性があることを明示)

    このようなルールを設定しておけば、修正依頼が増えすぎることを防ぎ、制作側の負担を軽減できます。

    STEP

    ディレクターがクッション役となる

    作チームとクライアントの間にディレクターが入ることで、感情的な対立を防ぎ、冷静な調整が可能になります

    • クライアントからのフィードバックを整理し、制作チームに伝える
    • 制作側のこだわりを、クライアントのビジネス目的に沿った形で説明する
    • 対立しそうな場面では、双方の立場を理解した上で最適な落としどころを探る

    ディレクターが適切に調整を行えば、制作チームがクライアント対応に振り回されることなく、スムーズに作業を進めることができます。


    まとめ

    制作チームとクライアントの衝突は、お互いの視点や目的の違いから生まれるものです。ディレクターが適切に間に入り、以下のような対策を講じることで、対立を防ぎながらプロジェクトをスムーズに進行できます。

    • プロジェクトの初期段階で期待値をすり合わせる
    • クライアントの要望を具体化し、制作側が理解しやすい形にする
    • 修正対応のルールを明確にし、無制限な修正を防ぐ
    • ディレクターがクッション役となり、感情的な対立を回避する

    適切なディレクションが行われれば、制作チームは本来の業務に集中し、クライアントも納得感を持ってプロジェクトを進めることができます。制作チームとクライアントの信頼関係を築き、より良い成果を生み出すために、ディレクションの力を最大限活用しましょう。

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    記事執筆者

    ヨコタナオヤのアバター ヨコタナオヤ Creative Producer / Strategic Designer

    1990年生まれ、大阪府交野市出身。東京・文京区在住。元植木屋。
    「戦略 × デザイン」 の視点を活かし、多様な業界の新規事業開発・ブランディング・マーケティング・プロダクト開発に携わる。ブランドのアイデンティティ構築や戦略設計、特別化を軸にした事業成長の仕組みづくりを得意とする。
    スタートアップから大手企業まで、事業戦略の策定から実装支援まで一貫して伴走し、ブランドストーリーの構築、プロダクト開発、デジタルマーケティング戦略を手掛け、持続可能な成長をサポート。
    また、合同会社コラレイトデザインの代表としてビジュアルデザイン・Web制作・マーケティング支援を行うほか、一般社団法人社会構想デザイン機構では、社会課題にフォーカスしたクリエイティブアプローチにも積極的に取り組む。

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