本合意シートは個別契約の別紙として位置づけられ、クライアントの署名をもって契約の一部を構成するものとします。
本書の目的
制作の各工程で、双方の担当範囲と確認・承認する内容を明確にし、共通の認識で制作を進めるための書類です。
この書類で防ぐこと:
- 「言った言わない」問題
- 確定後の前提変更
- 責任の曖昧さによるトラブル
1. 制作プロセスの全体像
- 戦略設計 → 確定
- 構成・ワイヤーフレーム → 確定
- 原稿確定 → 確定
- デザイン → 確定
- 実装 → 納品
各工程の確定後の変更は、追加作業となります。
ロゴ、CI・VI、キャラクター、イラスト、キービジュアルの制作では、上記の手前に Phase 0(ビジュアル運用設計)を置きます。
ビジュアル運用設計 → 確定(用途・寿命・体制・改変・AI・独占) → 戦略設計 → … → 実装
2. 各フェーズの詳細定義
Phase 0:ビジュアル運用設計(ロゴ・キャラクター・イラスト・キービジュアルの場合)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 納品後の使われ方を制作着手前に確定 |
| 成果物 | ビジュアル運用設計書 |
| 当社の責任 | 設問の設計、回答の整理、体制に応じた推奨、概算見積 |
| 貴社の責任 | 用途・寿命・体制・改変範囲・AI 意向・独占の意思決定 |
| 対象 | ロゴ、CI・VI、キャラクター、イラスト、キービジュアル |
| 料金 | 有償(別紙「ビジュアル運用設計シート」第 2 章による) |
合意ポイント
✔ ビジュアル運用設計の確定
・使う媒体の範囲が確定
・使う期間が確定
・誰が触るかが確定
・改変の範囲が確定
・生成 AI の利用可否と条件が確定
・独占の範囲が確定
・以降、これらの前提の変更は追加見積
なぜ制作の前に置くのか
ビジュアル制作で揉める原因は、制作の質ではなく「聞かれていなかった前提」にあります。
| よくある事後発覚 | 起きること |
|---|---|
| グッズにも使うつもりだった | 許諾範囲外のため、事後に追加ライセンスの交渉になる |
| 社内に触れる人がいなかった | 更新のたびに費用が発生し、やがて更新されなくなる |
| 生成 AI で差分を作られた | 基準となる資料がないため造形が揺れ、同一性が壊れる |
| 想定より早く使わなくなった | 投資が回収されない |
いずれも着手前に確定できます。確定しないまま進むと、その上に積み上げた後工程が全て積み直しになります。
本フェーズを実施されない場合、ビジュアル運用設計シート第 8 章の既定値が適用されます。既定値を超える使い方が後から必要になった場合、その時点で追加のお見積もりとなります。
詳細は別紙「ビジュアル運用設計シート」によります。
Phase A:戦略設計
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | プロジェクトの方向性・判断軸を確定 |
| 成果物 | 戦略設計書、要件定義 |
| 当社の責任 | 設計・提案・言語化 |
| 貴社の責任 | 確認・意思決定・承認 |
合意ポイント
✔ 戦略設計の承認
・プロジェクトの目的・ゴールが確定
・ターゲット・方向性が確定
・以降、方向性の大幅変更は別途見積
Phase B:構成・ワイヤーフレーム
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 情報設計・構成・ページ割を確定 |
| 成果物 | ワイヤーフレーム、構成案 |
| 当社の責任 | 構成提案、仮文章の作成 |
| 貴社の責任 | 構成確認、方向性の承認 |
「仮文章」の定義
仮文章とは
・構成理解・検討のための「叩き台」
・完成稿ではない
・情報量・構造・方向性を確認するためのもの
・AI補助ツールを使用する場合がある
※ 仮文章の意味内容の正確性は、この時点では保証対象外
※ 最終的な原稿の意味・内容に関する責任は「原稿確定」フェーズで貴社承認により確定
合意ポイント
✔ 構成・WFの承認
・ページ構成・情報設計が確定
・情報量・セクション構成が確定
・仮文章の方向性が確定
・以降、構成の大幅変更は別途見積
Phase C:原稿確定
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 掲載文章の意味・内容を確定 |
| 成果物 | 確定原稿 |
| 当社の責任 | 整理・提案・表現・語調の調整 |
| 貴社の責任 | 内容確認・原稿の意味・内容に関する責任・最終承認 |
原稿の責任分界
| 原稿タイプ | 作成者 | 原稿の意味・内容に関する責任 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 仮原稿 | 当社(AI補助含む) | なし(確認用) | 構成検討・方向性確認 |
| 支給原稿 | 貴社 | 貴社 | 最終制作物 |
| 確定原稿 | 協議により決定 | 貴社(承認により確定) | 最終制作物 |
原稿作成パターン
【パターン1】クライアント支給(推奨)
貴社が原稿を作成 → 当社が整理・構成調整 → 貴社が最終確認
【パターン2】当社作成(別途見積)
当社が原稿を作成 → 貴社が確認・修正指示 → 当社が修正 → 貴社が最終承認
※ 修正回数・範囲は見積時に定義
【パターン3】ハイブリッド
貴社が骨子・要点を支給 → 当社がリライト・整理 → 貴社が最終確認
合意ポイント
✔ 原稿の承認
・掲載文章の意味・内容が確定
・原稿の意味・内容に関する責任が貴社に移転
・以降、原稿変更は追加作業(別途見積)
重要:
原稿承認後の変更について
・誤字脱字の修正:軽微修正として対応
・意味・内容の変更:追加作業(別途見積)
・構成に影響する変更:別途見積
Phase D:デザイン制作
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | ビジュアルデザインを確定 |
| 成果物 | デザインカンプ |
| 当社の責任 | デザイン制作・品質 |
| 貴社の責任 | 確認・承認 |
合意ポイント
✔ デザインの承認
・レイアウト・配色・トンマナが確定
・画像・素材の方向性が確定
・以降、デザイン変更は別途見積
デザインフィードバックのルール
効果的なフィードバックのために、以下のルールにご協力をお願いいたします。
「論点」と「タスク」の違い
フィードバックは 「論点(何を解決したいか)」 と 「タスク(具体的にどうするか)」 の2つのレベルがあります。お客様には「論点」をお伝えいただき、「タスク」への落とし込みはデザイナーにお任せください。これにより、デザイナーの専門性を最大限に活かした最適な解決策をご提案できます。
フィードバックの原則
| 推奨(目的・課題で伝える) | 非推奨(具体的な実装手段を指定する) |
|---|---|
| 「もっと信頼感・安心感がほしい」 | 「背景色を青にして」 |
| 「若い世代にも響くようにしたい」 | 「フォントを丸ゴシックにして」 |
| 「情報の優先順位が伝わりにくい」 | 「この要素を大きくして」 |
| 「競合A社との差別化を出したい」 | 「A社のサイトと同じレイアウトにして」 |
| 「このセクションの目的が伝わらない」 | 「テキストを赤字にして目立たせて」 |
なぜこのルールがあるのか
デザインは、色・フォント・レイアウト等の要素が相互に関連して全体の品質を構成しています。1つの要素を変更すると、全体のバランスに影響を及ぼす場合があります。
「目的・課題」でフィードバックをいただくことで、デザイナーが専門知識を活かした最適な解決策を提案できます。結果として、より効果的なデザインに仕上がります。
具体的な指定をされた場合の対応
お客様が具体的な変更指示をされた場合でも、もちろんお聞きします。ただし、デザイン品質への影響がある場合は、代替案を合わせてご提案させていただきます。最終的な判断はお客様にお任せしますが、代替案もご検討いただけると幸いです。
フィードバックの提出方法
- メールまたはチャットツールで一括してお送りください
- スクリーンショットに赤入れ(注釈)をつけていただくと正確に伝わります
- 口頭でのフィードバックは記録が残りませんので、必ず文書でもお送りください
- 1回のフィードバックで全ての修正点をまとめてお送りください
Phase E:実装・納品
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 制作物を完成させ納品 |
| 成果物 | 完成した制作物 |
| 当社の責任 | 実装・品質管理 |
| 貴社の責任 | 最終確認・検収 |
合意ポイント
✔ 納品の承認
・制作物が要件を満たしていることを確認
・検収完了
・納品後の修正は保守契約 or スポット対応
3. 責任分界マトリクス
| フェーズ | 当社の責任 | 貴社の責任 | 確定するもの |
|---|---|---|---|
| ビジュアル運用設計 | 設問・整理・推奨 | 用途と体制の意思決定 | 使われ方の前提 |
| 戦略設計 | 設計・提案 | 意思決定・承認 | 方向性・判断軸 |
| 構成・WF | 構成提案・仮文章 | 確認・承認 | 構成・情報設計 |
| 原稿確定 | 整理・提案 | 内容確認・原稿の意味・内容に関する責任 | 掲載文章 |
| デザイン | デザイン制作 | 確認・承認 | ビジュアル |
| 実装 | 実装・品質 | 最終確認 | 制作物 |
4. 確定後の変更ルール
基本原則
各フェーズで「✔ 承認」された内容は「確定」となります。
確定後の変更は、原則として追加作業(別途見積)となります。
変更の種類と対応
| 変更の種類 | 対応 | 費用 |
|---|---|---|
| 誤字脱字・軽微な修正 | 対応 | 無償(軽微修正の範囲内) |
| 確定済み原稿の意味変更 | 追加作業 | 別途見積 |
| 確定済み構成の変更 | 追加作業 | 別途見積 |
| 確定済みデザインの変更 | 追加作業 | 別途見積 |
| 方向性の変更 | 要相談 | 別途見積 |
なぜこのルールなのか
制作は「積み上げ」で進行します。
戦略 → 構成 → 原稿 → デザイン → 実装
↑ ↑ ↑ ↑
・─────┴──────┴───────┘
前工程が後工程の前提になる
前提が変わると、その上に積み上げたものを
やり直す必要が生じます。
「確定」の仕組みは、手戻りを防ぎ、
プロジェクトを効率的に進めるためのものです。
5. 見積書への反映
見積書には以下を明記します:
原稿について
□ 原稿:クライアント支給
□ 原稿:当社作成(原稿制作費含む)
□ 原稿:ハイブリッド(骨子支給→当社リライト)
修正回数について
デザイン修正:◯回まで含む
原稿修正(当社作成の場合):◯回まで含む
※ 回数超過分は別途見積
確定後の変更について
各フェーズ承認後の変更は追加作業となります。
追加作業の費用は都度お見積りいたします。
6. サービス別の適用
Web制作
戦略設計 → 構成・WF → 原稿確定 → デザイン → 実装 → 公開
ロゴ・CI制作
ビジュアル運用設計 → 戦略設計 → コンセプト → デザイン展開 → ガイドライン → 納品
キャラクター・イラスト・KV制作
ビジュアル運用設計 → コンセプト → ラフ → 本制作 → ガイドライン → 納品
※ 生成 AI の利用を許諾する場合、ガイドラインの手前に設定資料(三面図・表情基準・配色・造形上の禁止事項)の制作が入ります。
DL資料・パンフレット
構成・WF → 原稿確定 → デザイン → 入稿・納品
戦略サービス
診断 → 戦略設計 → アドバイザリー(継続)
7. クライアント確認事項
本プロジェクトを開始するにあたり、以下をご確認ください:
- [ ] 各フェーズで「承認」が必要であることを理解しました
- [ ] 「仮文章」は構成確認用であり、完成稿ではないことを理解しました
- [ ] 原稿の最終的な原稿の意味・内容に関する責任は貴社にあることを理解しました
- [ ] 確定後の変更は追加作業となることを理解しました
- [ ] デザインフィードバックは「目的・課題」で伝えることを理解しました
ロゴ・CI・VI・キャラクター・イラスト・キービジュアルを含む案件では、あわせて以下をご確認ください:
- [ ] Phase 0(ビジュアル運用設計)で確定した前提の変更は追加作業となることを理解しました
- [ ] Phase 0 を実施しない場合、ビジュアル運用設計シート第 8 章の既定値が適用されることを理解しました